家の耐震化で命を守る
過去に発生した大きな地震では、倒壊した建物の下敷きになって多くの人命が失われてきた。2024年1月の能登半島地震でも、住宅の老朽化や耐震改修の遅れなどが被害拡大を招いた可能性として指摘されている。00年以降に鳥取県内で発生した地震でも、建物などの倒壊被害は各地で見受けられた。同県内には地震を引き起こす断層が複数あり、大規模地震が今後「いつ、どこで起きてもおかしくない」といわれている中で、家族の安全を守る住まいの耐震化は重要性を増している。耐震改修の流れ、同県の支援制度を紹介する。
Q 耐震改修工事とは?
A 耐震診断の結果、耐震性が不足している建築物について、耐震性が向上するように補強する工事。
Q 新耐震基準とは?
A 1981年に改正された建築基準法に基づき、建築物などに必要とされる最低限度の耐震性能の基準。震度5程度の中規模地震では軽微なひび割れ程度にとどまりほとんど損傷がなく、ごく稀にしか発生しない震度6強程度の大地震であっても倒壊・崩落して人命に危害が生じないレベルのもの。
【耐震改修までの流れ】
耐震診断:現地調査を行い、上部構造評価点(lw※)を算出し、耐震性を確認
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耐震改修設計:耐震診断で耐震性が所定のレベルに達していないと判断された場合、補強内容を具体的に設計
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耐震改修工事:耐震改修設計を基に、補強工事を実施
※上部構造評価点(lw)=現に住宅が保有している耐力/震度6強程度の地震に対し住宅に必要な耐力lw1.0未満だと、大地震時に倒壊する可能性があるとされる
【県の補助金】
2000年5月31日以前(非木造の場合は1981年5月31日以前)に建築された一戸建て住宅が対象。
※補助金の申請窓口は市町村
〈耐震診断の補助〉
木造住宅の場合
・無料診断の場合:市町村が耐震診断士を派遣・自己負担なし
・有料診断の場合(診断する建築士を指定する場合):診断費の2/3、最大13万2千円補助
非木造住宅の場合
・診断費の2/3、最大9万円補助
〈耐震改修設計の補助〉
・耐震診断の結果、耐震性の不足が指摘された場合:設計費1/2、最大16万円を補助
〈耐震改修工事の補助〉
・各階のlw値が1.0以上となる工事/各階のlw値が0.7以上となる段階的な工事/1階のlw値が1.0以上となる段階的な工事の場合:工事費の4/5、最大140万円の補助
【困ったときは県「専門家派遣制度」の活用を!】
建築士や宅地建物取引士などの専門家を派遣し、耐震化に関する相談を無料で行う制度。
対象は00年5月31日以前に建築された、木造2階建て以下の一戸建て住宅
詳しくは、各市町村の窓口へ:鳥取県住宅政策課 住宅・耐震化
「補助金の申請先 問い合わせ先」 その他、低コストで工事ができる工法や命を守る耐震対策も紹介しています
(2025年4月18日付紙面参照)